175日目 恥をさらに大きい恥で上塗りしてしまおうみたいな

*この作品は最後のオチ以外フィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい関係ありません。マジで。



今日は学校に行きました。
この時点で爆笑、もしくは失笑できる方もいるかもしれません。でもほとんどの方はわからないでしょうからもう少し詳しく説明します。
朝8時に起床し、朝ご飯を食べ、歯を磨き、申し訳程度に顔を洗って9時33分の急行電車に乗る。途中でバスに乗り換え10時40分に学校につく。やけに人が少ないのが少し気になったが授業の真っ只中だからであろうとあまり気にならなかった。30分ほど時間が余ったため図書館で資料集めでもしようと思い図書館の前まで移動。そこには何故か「本日は閉館しました」。
―――「本日は閉館しました」・・・?
まて、心を落ち着けろ。冷静に考えるんだ。今日は火曜日、そして授業は先週の金曜から始まっている。つまり今日授業は平常通りに行われている。これは間違いない。では何故図書館が閉館している?そして少なすぎる人...大学までのバスには10数人はいたはずなのに!!
落ち着け。いつものクールな俺はどうしたんだ!?考えろ、考えろ。思い出してみると少し前から人の気配を全く感じなくなっているような気がする。そう、バスを降りてから...ずっとそのような気がした。
大石さんが言っていたじゃないか!毎年この時期は横須賀基地で不穏な動きがあるって!!横須賀市で行方不明者がでているって!!
大石さんがしてくれた大学が横須賀米軍基地の領土だったときの話を思い出す。
米軍が、基地内総出で獲物を追回し、囲んで、内臓を抉り出し食らうという恐ろしい話。
米軍の「狩り」は邪魔してはいけない。
見て見ぬふりをしなければならない。
敵は複数。軍が絡んでいる。諏訪神社の「儀式」を妄信する市民たちは当然俺を助けない。
いや、本当にただの偶然だっていう可能性もある。今日はたまたまみんなが風邪かなにかで休んだだけかもしれない。
・・・落ち着け!だけど甘えるな!!
それならバスに乗っていた人たちはどうなんだよ!?バスを降りた瞬間から彼らの気配は消えていたんだぞ!!
鷹野さんのスクラップブックを思い出す。同時になにか冷たいものが背中をつたった。
米軍は大変な生物兵器を作っているらしい。その研究の拠点がこの大学。鷹野さんが消された理由はそれを知ってしまったからだ。うん、ここまではいい。鷹野さんは数日前にスクラップブックを俺に託した。
まさか...感づかれた!?
もう米軍は大学内に...いる...?
ならば俺がまだ生かされている理由は何?
・・・・・・もうなにがなんだかわからないよ...
横須賀の「儀式」を疑えば人間の影がちらつき...
人間の仕業を疑えば横須賀の「儀式」の影が見え隠れする。
何が偶然で何が恣意的なのか...
誰が敵でだれが傍観者なのか...
日差しが急に強くなって眩暈がした。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
カナカナカナカナ...
それは夕暮れを教えるひぐらしの鳴き声。
・・・俺に何かを教えようとし、ついに叶わなかった犠牲者たちの泣き声。
俺も...それに加わるのか。
・・・夜空には、ただ一人きりの月がある。
ああ───気ががつかなかった。
こんやはこんなにも、つきが───きれい───だ










ちなみにオチは大学の創始者の誕生日で休みだったそうです。本当の本当に頭が悪いんですね、兄さんは。