296日目 はぢめてのぎゃるげれびゅー(完全ネタバレ)

今日は面白いと言われているパソコンゲームの体験版をやっていました。タイトルは車輪の国、向日葵の少女

車輪の国、向日葵の少女  初回版

車輪の国、向日葵の少女 初回版

この体験版、全5章の内2章まで入っているという超親切仕様。評判通り面白いし言うことなしです。伊達にヒューマンドラマADVと謳ってるわけではないみたいです。
ストーリーはこんな感じ。wikipediaからの引用です。

日本によく似たとある架空の国のお話。その国では罪を犯すと懲役に代わり、その罪に応じた「特別な義務」が科せられ、その犯罪者は『特別高等人』という超法規的存在によって更正指導される。主人公・森田賢一はその特別高等人を目指す候補生である。最終試験の課題として、田舎町にいる三人の少女の更生するよう指示されるが...

体験版でプレイできる第2章のヒロインは三ツ廣さち。「1日が12時間しかない義務」を持つ少女。かつては絵画で賞をとったこともあるが、とある出来事をきっかけに自堕落に陥り現在はネット為替にはまる毎日を送っている。主人公の目的はこの子を更生させることです。
彼女の日常の一コマです。

あたしはぜんぜん働かないからねー
NEETキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
右手にマウス、左手にキーボード、視覚はパソコン画面に集中、主人公の問いかけに適当に答えるその様はまさにNEETのそれです。家事は全て同居人のまながやります。まさに理想郷です。
毎朝「今日もピリッとがんばるぞーっと!」と元気よく宣言していますが、何をどうがんばってるのかよくわかりません。ひたすらに駄目駄目な三ツ廣さち。しかし彼女はある日NEETでいられなくなります。
なんと外国の偉い人が料理、洗濯、掃除...家の家事を全てやってくれていた完璧超人まなを奉公人として買いたいと申し出たのです。
まながいなくなるとだれが家の家事をやってくれるんだという気持ちも多少あったと思いますが、とにかくさちはまなを救おうと決心します。でもどうやって?彼女にはまなを買い戻すだけのお金がありません。
「その決意、俺が買ってやる」
賢一はもしさちが再び絵を描き始める、そして作品を期限までに仕上げたらまなを買い戻すだけのお金を肩代わりをしてやろう、そう言いました。脱NEETしたら許してあげるよ、と言うことです。
期限はたったの10日。でもまなのため、さちは再び筆を持つことを決意。

途中こんなかっこいいシーンがありますが所詮NEET諦めの早さはピカイチ。絵を描き始めてから2日目の夕方、さちはとんでもないことを言い出します。

もしあたしの絵が間に合わなかったらそのときはまなを助けてくれるんでしょ?
すごい...完璧NEETだ...
まあ何だかんだで最後はなんとかなるだろうという最悪の思想です。これで何度痛い目にあったか...でも絶対学習しませんけどね。人生神頼み、それがNEETの生き様さ〜♪
この後も1日で描いた絵を提出して賢一をブチ切れさせたり、かんしゃくを起こして部屋で暴れまわったりとそのNEETっぷりを余すことなく見せ付けます。*1
もうNEETというかむしろそれ以下の存在に成り下がってしまったさちを見てまなは言います、「ここを出ていくね」。
まなは知っていたのです。自分のためにさちが苦しんでいることを。まなは続けて言います。


「お姉ちゃんが一生懸命がんばって絵を描いてくれれば、それが一番だよ」
「だから、まなのことより、絵のことだけを考えてね」
「お姉ちゃんががんばって描いた絵ならまな何でもうれしいよぉ」
「たとえまながその絵を見れなくても、お姉ちゃんがどこかでがんばってくれているなら、それでもいいよ」
「いままでありがとうね!ばーいばいっ!」

まなは行ってしまった。まなの一言一言がさちの心に突き刺さっていく。誰もいなくなった扉に向かってさちは「ごめんなさいっ――――っ!」と叫ぶしかなかった。
さちはようやく自分の愚かさに気づいたのです。そこからはもう何も言うことはない。さちは一心不乱に絵を描き続ける。まなのために、そして自分のために...

もう立ち止まらない。さちは描き続ける。自分の力で、自分の意思で。最終日、そこにはまながいた。絵が完成しているのならその場でまなはさちの元へ戻れる。そういう約束だった。
差し出された絵...それはさちのまなへの思いやりがぎゅっと詰まった傑作。賢一の目にはそう映った。さちは賢一との約束を果たしたのだ。後は賢一がお金を振り込むだけ...これでハッピーエンドになるはずだった。しかし...

「賢一は、やっぱり最後にはなんとかしてくれるんだね」
「でも、その優しさは受け取れないよ」
「...二人で話し合って決めたの」

絵は完成していなかった。不眠不休でがんばり続けたさちは絵を描けるような状態じゃなかった。さちの実力はこんなものじゃない。お姉ちゃんはすごいんだ。こんな駄目駄目な絵じゃなくてもっともっとすごい絵が描けるんだ。だから賢一はこの絵を受け取ってはいけない。

「賢一みたいな優しい人はときどき人をダメにするんだよ!」
「まなのお姉ちゃんはまながいないくらいでダメになっちゃうような、そんなよわっちい人じゃないんだよぉっ!」

さちは約束する。いつか超ビッグな画家になってまなを呼び戻す、と。町の外へと歩いていくまなの姿が見えなくなり、さちは狂ったように泣いた。いつまでもいつまでも流れ続けるその涙...
次の日、そこには画材道具を持ったさちの姿が。
「これからはあたしも忙しくなるからねー」

「さあて、今日もピリッとがんばるぞーっと!」






えーっと、これで車輪の国、向日葵の少女の第2章のレビュー終了です。気合入れまくってしまい、物凄い長さになってしまいました。NEETであるさちの描写が気に入りました。マジでどう見ても僕です。本当に(ryって感じでしたもん。っていうかさちにデジャブを感じた人は結構多かったのではないでしょうか。
何かと生きにくい世の中です。目的もなくただ何となく生きてしまう。人間なんてそんな物っていう考え方もありますが、やっぱり自分の足でしっかりと歩いていきたいところです。
久しぶりに心の底からああ、こいつらはこんなにがんばってるのに俺何エロゲなんてやってんだろう...って思えたゲームです。お勧めですよーw

*1:彼女の名誉のために一応フォローを入れます。彼女は幼い頃に芸術で賞を取りました。しかし彼女のその才能を妬んだある人物が彼女の作品は盗作だとし賞を剥奪。それ以来彼女が筆を握ることはなかったのです。悲しい話です。