241日目 もしも生まれ変わらなければならないなら、私は貝になりたい

被告人、仮面NEET(20)に判決を言い渡す。―無期懲役、執行猶予3年―
これはある狂人の物語である。仮面NEET(以下NEET)は極普通な大学生であった。ただ一つ、水嶋ヒロのストーカーであることを除いては...
NEETはこの死刑という判決に心なしか残念そうな表情を浮かべた。しかしその姿は判決の重さゆえの表情というよりもどこか残念そう...そんな表情だった。NEETはただの水嶋ヒロのファンであった。そう、ただのファンであったはずなのだ...
NEETは何よりも先ず世間を疑った。死刑だなんてあんまりだ。自分が何をしたのだろう、自分はたちの悪い夢を見ているのでは無いのか。それとも本当に世間が狂ってしまったのだろうか。
しかし、裁判が進んでいくにつれNEETは気づき始めた。自分自身が狂っているのではないかと...
狂人とは自分の罪を世間に転換すると思われがちだがそれは実はそれは半分間違っている。狂人は始めこそ自分が狂人であることに自覚を持てないが時間と共に気づく。狂っているのは自分の方だと言うことに。
この時点で立ち止まることが出来ればそれは狂人ではないと言える。狂人はそこで止まることができないのだ。自分が狂ってしまったことを理解した上で狂い続ける。それが狂人である。NEETもその例に漏れることはなかった。
自分はもう狂っている、それはもう否定しがたい事実だ。ならば世間に死刑という形で裁いてもらうのが道理ではないか。そう考えていたNEETにとって無期懲役、執行猶予3年という判決はNEETにとって不服だった。裁判で見せた残念そうな表情の理由はそれだった。
今、NEETは東京郊外のビルの屋上にいる。その横には遺書と思しきものが置いてある。後に警察が発表した物によると書かれていた内容は以下の通りである。

「せめて生まれ代わることが出来るのなら...
いゝえ、NEETは生れ代わっても、もう人間になんかなりたくありません。
人間なんて厭だ。牛か馬の方がいゝ。
...いや牛や馬ならまた人間にひどい目にあわされる。
どうしても生まれ代わらなければならないのなら……いっそ深い海の底の貝にでも...
...いや貝だってどうせ魚に食べられて死ぬ運命だ。
それなら...僕は...僕は...」

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        ⊂⊃     ( ´∀` ) < やっぱ、高町なのはちゃん!
               ⊂    つ  \_____________
               ノ ノ ノ
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             彡
二次元なら傷つくことはない。二次元でなら生きていける。それはNEETにとっての世間への最後の抵抗だったのかもしれない。
これがNEETの最後の言葉となった。即死だった。かろうじて原形をとどめたNEETの顔、その表情は穏やかだった。―End―







書き始める前はもうちょっと面白いネタになると思っていた、今は反省している